DESK / Steel Leg:もう一度つくり直した「原点」の鉄脚

2026-09-17FEATURED PRODUCTS

PREDUCTS DESKに、電動昇降"ではない"モデルがあったことをご存じでしょうか。

2021年、私たちが最初に発売したのは、"高さが変わらない"シンプルな鉄脚のデスクでした。その後、電動昇降脚に対応したところ主従が逆転し、数年後に鉄脚は終売。結果として、今は電動昇降脚専用となっているのです。

今回、そんな"高さの変わらない"鉄脚を再びラインナップに加えることにしました。これは、復刻ではありません。現在、そして今後のPREDUCTSを体現する意匠を纏い、新たな原点を表現するものです。

原点だった鉄脚をやめ、昇降脚を選んだ理由

先述のとおり、PREDUCTS DESKは鉄脚とともにはじまりました。

ただ、これに深い意味があったわけではありません。創業メンバーがそれまで電動昇降デスクを使ったことがなく、鉄脚のデスクを愛用していたから。デスクを作るなら自然と鉄脚で……と考え開発したのがはじまりでした。

初期の鉄脚

ですが、発売直後から電動昇降脚に対応したモデルの問い合わせが相次ぎ、電動昇降脚にも対応できるように急遽天板を改良。現在も展開しているFlexiSpotの電動昇降脚と組み合わせたプロダクトとして展開するようになりました。

それ以降、鉄脚と電動昇降脚の両方を販売していたのですが、電動昇降モデルを選ぶ方が増え、気がつけば販売数の大多数を占めるようになっていきました。

一方で、この両対応にはある問題がありました。当時の鉄脚は天板への取り付けに必要な横幅が電動昇降脚より広く、その分レールの幅を小さくしなければならなかったのです。電動昇降脚だけに対応していれば、もっと幅の広いレールを付けられてモジュールもたくさん設置できるのに、鉄脚に対応することでレールの幅が狭くなってしまう——この課題を数年間抱えた結果、最終的には天板を電動昇降脚専用にアップデートするとともに、鉄脚は終売となりました。

当時の天板裏。鉄脚の取付部が大きくレールの横幅が狭い

この意思決定は、今も正しかったと思っています。横幅を最大限活かせることでモジュールのラインナップも拡充でき、現在の主力モジュールには、このレール設計でなければ実現できなかったものも少なくありません。「DESK MODULAR SYSTEM®」の性能を最大限引き出すには不可欠な意思決定だったと思います。

また、ミリ単位で自分の体格に合わせて高さを調整できる電動昇降デスクは、一人ひとりに最適化できる、現代のワークスタイルにマッチした家具です。PREDUCTS DESKを「仕事道具」と捉えたとき、最も合理性の高い脚は電動昇降脚でしょう。

他方で、合理性"以外"の観点で考えたとき、昇降脚ではない選択肢があるべきではないか、という気持ちも心のどこかにずっとありました。昇降脚はその機構上どうしても脚が太くなりますし、モーターやコントローラーなどの機械類を収める場所や体積が必要になります。重量を支えられる構造体も必要になるため、意匠的な自由度も低くなってしまいます。

意匠的な自由度やインテリアとしての佇まい、質感、モノとしての所有欲——そうした"合理性の外側"にある要素に応えるべきではないか。なにより、私たち自身の"原点"でもあった鉄脚を、いまのシステムに合わせて改めて作れないか。そう考え、再び鉄脚の開発に着手しました。

鉄脚をきっかけに変化したモジュール群

新しい鉄脚の設計を始めたのは2024年3月。世にあるさまざまなデスクを眺め、どのような形状や構造がPREDUCTSの現在のデスクとしてふさわしいのかを探るところから始めました。

スケッチや3Dモデリングで意匠の検討を重ね、約3ヶ月後には現在の鉄脚につながる造形の方向性を定め、試作をスタート。そこからいくつかのバージョンアップ、細部の調整、構造的な強度の確認を繰り返し、量産の手前までこぎ着けたのがちょうど1年ほど前でした。

しかし、量産目前の試作品を組み上げたところ、ある違和感に気がつきました。デスクとモジュールの意匠的な整合性がとれないのです。今回のSteel Legは、過去の鉄脚と比較しても立体的で複雑な造形です。また、スチール素地の質感を表現できるようクリアの仕上げを想定していました。

そんな鉄脚と当時展開していたモジュールを見比べると、どうしてもモジュールの方が単純な造形で、質感も単調に感じられてしまったのです。その要因は、当時のモジュールが板金加工に粉体塗装をしたものが中心だったことにありました。

板金加工は量産コストも低く設計の手間も少ない一方、単純な造形になりやすい傾向があります。粉体塗装も表面をきれいに覆い隠す仕上がりのため、金属の質感は感じづらい。

そこから私たちは既存モジュールのアップデートを決め、アルミ切削のGadget ClampやMagnet Cable Holder 2、Gadget Armシリーズ、ステンレスシャフトによるDrawerのShaft BracketやDASHBOARDのShaft Legなどを開発。ただ板金をやめるのではなく、既存のラインナップと新しい鉄脚がうまくかみ合うような橋渡しとなる調整を重ねました。

そうしたラインナップのアップデートが一通り揃ったため、今回『DESK / Steel Leg』を発売するに至ったのです。

"合理性の外側"にある、質感

Steel Legは左右それぞれ独立した脚で、スチール鋼管を曲げた四角いフレームに、構造を支える斜めのブレースを一本溶接してつくられています。横から見ると四角形、その中央付近をブレースが斜めに通るシンプルな造形です。レール5本の天板(DESK / Standing Plusと共通の天板)に合わせるため、ブレースは左右対称の位置ではなく、少し後ろにずれています。

四角いフレームは一本の鋼管を曲げたもので、継ぎ目の痕跡がわからないようきれいに表面を仕上げています。これは職人の手作業だからこそなせるものです。

こうした加工技術があったからこそ、仕上げにスチールの素地の見える「クリア」を選択しました。鉄が本来持つ焼け跡や削った跡も、風合いとして感じてほしいと考えたからです。

電動昇降に必要な伸縮機構やモーター、操作パネルもなく、脚の上に天板が乗っているだけのシンプルな構造。だからこそ、家具としての静かな佇まいがあり、家具らしい質感があり、空間にも馴染みやすい。鉄脚ならではの設計の自由度を表現できたプロダクトに仕上がっているかと思います。

新たな原点であり選択肢

このDESK / Steel Legを、私たちは単純な「固定脚版のPREDUCTS DESK」とは考えていません。鉄脚をひとつ作ろうとしたこの2年間は、PREDUCTSのデスクシステム全体をつくり直す時間でもあったからです。

電動昇降デスクが、これからもPREDUCTSにとって重要なプロダクトであることに変わりはありません。Steel Legはそれを否定するものではなく、選択肢を増やすものです。道具としてのデスクを突き詰めるなら電動昇降を。家具としてのデスクを追い求めるなら、このSteel Legを提案したい。そう考えています。

これは、5年前へ回帰するデスクではありません。5年間の進化をもって、新たな原点となる選択肢を提示するデスクなのです。

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