昇降脚などのスチール部分に装着し、ケーブルを自由にガイドするマグネット式のモジュール『Magnet Cable Holder 2』の販売を開始しました。
デスクの脚やフレームに、マグネットでケーブルを固定するモジュール。ある程度太さのあるケーブルや複数本まとめてでも押さえることができます。本体はアルミ削り出し、仕上げはアルマイトのブラックです。
このプロダクト、名前に「2」とつくように、『Magnet Cable Holder』という同等の機能を有したもののアップグレード版。非常にシンプルな機能のプロダクトながら、なぜ今回第二世代を開発したのかその背景をご紹介します。
「デッドスペース」への違和感
先代の『Magnet Cable Holder』は、ブランドの初期から展開してきたモジュールです。「ケーブルを磁石で本体ごとデスクの脚に固定する」というとてもシンプルな機能のプロダクトで、多くの方にご愛用いただいているモジュールでもあります。
正直、機能面で言えば今回の「2」になったところで大きく変わることはありません。磁力の強度や通せるケーブルのサイズや本数などのアップデートはありますが、“大きな進化”とは感じづらいでしょう。
それでも開発したのは、いうなれば私たち自身が感じていた「違和感」を解消するため。その違和感とは、「デッドスペースが存在すること」です。先代モデルは市販の汎用品のマグネットを本体に組み付けた構造のため、磁石を収めるスペースが本体内に必要となります。すると、断面で見た時に本体の半分弱に折り返しのような余白が生まれていました。
これは機能上はまったく問題ありません。ただ、配線をすっきりさせる道具自体が、こうしたデッドスペースを抱えていいのか……。そんな引っかかりが、頭の片隅にずっと残っていたのです。
とはいえ、従来の板金でこの課題を解決するのは難しい。それゆえ、この形状で製品化したのですが、今回「新型の開発」を検討し始めたのは、ここ数年で社内に蓄積してきた切削加工の技術があったからです。
Headphone HangerやBag Hangerから始まり、Gadget Clamp、Mount for Apple Watchと、アルミ削り出しのモジュールを一つひとつ重ねていくなかで、造形の感覚も、切削だからできる機構への理解も少しずつ深まってきました。それゆえ「切削であれば、もっと無駄のない造形ができるはず」と思えるようになってきたのです。
一見単純なモジュールに、1年近い時間を要した理由
先代のモデルもあり、機能的にもシンプル。それゆえ、造形さえ固まれば割と早めに量産までこぎ着けられると考え開発はスタートしました。しかし、結果的にはこのシンプルなプロダクトは1年弱の開発期間を要することになりました。
理由は2つあります。1つは、造形の“らしさ”。ちょうど同時期に、先日発売したMount for Apple Watchの開発も並行しており、PREDUCTSの造形について議論を重ねていた時期でもありました。
その“らしさ”の解釈の変遷によって、このMagnet Cable Holder 2も一度完成に近づいたものから、大きく異なる造形へと転換した経緯があります。当初は角の取れた柔らかい造形だったのですが、最終的には写真にあるプリミティブな矩形に落とし込んでいます。
もう1つは、磁力と固定力のバランスです。今回は、先代モデルとは磁石の種類や設置方法が異なるため、ゼロからの検証が必要でした。ある程度机上で検討をして試作したものの、組み上げると想定より保持力が確保できず。
磁石の配置や種類を変えたり、接地面の素材や厚みを再検討したり……磁力・滑りにくさ・取り付けたときの安心感の三つが両立する組み合わせを地道に探っていきました。比較的太めのケーブルも押さえられる力が求められるものの、取り外しのしやすさも欠かせない……。なかなかまとまらず非常に地味な調整を重ねることになりました。
最終的には、既存のマグネットでは目指す磁力を理想とするサイズ感で出せないため、専用のマグネットを開発。限られた寸法でも、しっかりとケーブルを押さえられる強度をもてるように仕上げました。
小さく、目立たず、確かに
そうしてできあがったのが、この『Magnet Cable Holder 2』です。
なお、先代の『Magnet Cable Holder』は引き続き併売します。折り返しの構造はケーブルを引っ掛けるようにも使える自由度がありますし、板金のため価格も抑えやすいというのも正直なところです。設置する場所や合わせるデスクに応じて、選んでいただければと思います。
決して目立つプロダクトではありません。常に目に入る位置に置かれるわけでもなく、ただ、ケーブルを留めるという地味な仕事を、できるだけ小さく、目立たずこなす。限りなく縁の下の力持ちのような存在です。ですが、だからこそ、自分たちとして違和感がなく、自信をもって語れるものに仕上げたかったのかもしれません。